【完】君に贈る歌



「ん?どうしたの橘君!今自分の苗字言おうとした?」


「あ、いや・・・。気にしないで。彼女ならいないよ」


「りょーかい♪そっかよかったぁ」




名字が同じ読み方だったおかげで俺はなんとかごまかす事ができた。


そして北山は俺に彼女がいないと分かると急に女の武器をふんだんに使ってくるようにもなった。


ボディタッチも多くなり、暑いからと言って露出も増える。


甘い声になりまるでお酒でも入っているかのようだ。



俺には何故そんな風になるのか読めていた。

いや、むしろ俺がそうさせたのかもしれない。






「・・・誘ってんの?」


俺は北山の耳元でこそっと囁く。


北山はとろんとした瞳で俺を見つめ、小さく頷いた。





「・・・抜けようか」




俺と北山は合コンを抜け、立花と入ったラブホテルがたまたま近くにあったからそこに入った。



部屋も奇遇か、あの時の部屋だった。


無意識に選んでいただけなのに。

俺は立花を意識しているんだろうか。





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