【完】君に贈る歌
HRが終わり短い休み時間。
俺は何をするでもなくぼーっとしていた。
周りでは立花の様子をうかがっているのか、いつも俺に近づいてくる女子が寄ってこない。
「立花ちゃん♪」
そんな中、
圭介だけは俺らの所に寄ってくる。
「圭介・・・苗字にちゃん付けはやめてくれよ。俺が呼ばれてるみたいじゃん」
「まぁまぁ!立花ちゃんはどこから転校してきたの?あっ俺の名前は小沢圭介!よろしくぅ」
「・・・」
圭介の言葉に立花は何も答えない。
ただ自分の席に座ってうつむいている。
「立花ちゃ~ん?」
「転校してきて初日だし緊張してるんだろ。そっとしといてやれよ」
「えー?でもせっかく仲良くなろうと・・・」
「男と最初から仲良くなってもな。しかもチャラ男」
「翔太までそんな事言うのかぁ!?」
「だったらすぐに髪の毛黒に戻してピアスも外してこい。そしたらもう言わない」
圭介はぶつくさと何か文句を言っている。
俺はそれを無視して立花に話しかけた。
「分かんないことあったら俺に聞いて。それが嫌なら先生か、近くの女子」
圭介に何を言われても反応しなかった立花は、俺を見て小さく頷いた。
また翔太ばっかり!と嘆いている圭介をよそに、一時間目の始まるチャイムが鳴った。