【完】君に贈る歌
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某カラオケ店。
「・・・」
俺の歌声を聞いた後、高橋は口を半開きにして数分間俺の事を見つめていた。
「やっぱり、無理かな」
「あはは・・・」
「・・・無謀だよな」
「いける!いけるよきっと。あたしがついてるんだから大丈夫!」
そう言った高橋は気を取り直して俺にあれこれ説明し始めた。
高橋の説明の仕方はとても分かりやすく、すぐ実践できるようになる。
「そうそう!それで音を合わせるの」
「本当だ。できる!」
「橘君頭いいんだから、すぐにこんなの覚えちゃえば誰よりも上手くなっちゃうよ!?」
「いやいや・・・」
それから何度も何度も音を聞き、歌ってみた。
しかし、音程がたびたび外れてしまう。
高い音もしっかり出せず震える。
頭の中ではこうしたいというものが浮かんでいるのに、どうしようもできないこのもどかしさ。
「リズムはとれてるんだからいけるいける!」
俺に合わせて高橋が歌ってくれる。
高橋がガイド代わりになり、歌いやすい。
少し音程も取れてきたきがする。
でも高橋が抜けた途端、俺はあっという間に音程が迷子になってしまった。