【完】君に贈る歌


「今日はまだ始めたばかりだし、気を落とさないで頑張ろうね橘君!」


「・・・分かってる」


「今は9月後半だから、あたし的にはあと1か月で音程を完璧に取れるようにして高音も綺麗に出せれるようにしたいかな!・・・あと歌とかはどうするの?何を歌うの?」


「俺が作った歌を、歌おうと思って」


「そっか・・・そっかぁ!素敵だね!あたしも楽しみにしてるから!」


「頑張るよ」





俺はギターもドラムも、ベースだってできる。

昔、バンドの助っ人として入った事もあるからそれなりには。



だから曲作りもアレンジすればなんとかできるだろう。


歌さえなんとかできれば。





「じゃあもう一回!」


「分かった」





その日は何時間にもわたって、高橋の言う言葉を吸収した。


喉が潰れない程度に休みを挟みながら何度も歌う。




「~♪」


「うーん。そこはもう少し音高めだね。もう一回聞いてみる?」


「頼んだ」





立花に歌を届けたい。


いつの間にか口ずさめるようなすごい歌をあいつの前で歌いたい。




それだけが俺を動かしていた。
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