予言と過去
美雪は片手と片足を木の枝に掛け、反対の手と足を私の部屋の窓の縁(へり)に掛けていた。
「何やってんの!? 此処2階だよっ!?」
驚いて叫ぶと、美雪は窓の縁に掛けていた手の人差し指を口に当て、しーっと言った後、窓を こんこんと叩いた。
慌てて窓を開けると、彼女は音を立てないように静かに部屋に入って来て、窓を そーっと閉めた。
「おっきな声 出さないで。お婆ちゃん起きちゃうでしょ?」
美雪の言葉に小さく頷く。彼女は微笑んだ。
「久し振り、愛光。」
「……久し振り、じゃないよ。何で来たの?」
「愛光が会ってくれないからでしょ。」
美雪は可愛らしい顔を少し歪める。
「それは美雪が“良い加減”なんて言うから。」
「愛光、私そうゆう意味で言ったんじゃないんだよ。その後に続けたかった事、愛光が聞いてくれなかったから、窓から来たんじゃん。」
その後に続けたかった事?
私の怪訝そうな表情を見て、美雪は小さく息を吐いた。
「聞いてくれる? 愛光。」
「……うん。」
答えると、美雪は ぱっと笑顔を浮かべた。