予言と過去
「愛光、今日から学校に行くの?」
「うん。急で御免ね。」
「急も何も愛光が決めた事だから構わないけど……無理してない?」
お婆ちゃんの心配そうな顔に、胸が きゅっと苦しくなった。
私は大丈夫だよ。心配なのは お婆ちゃんの方。
「してないよ。」
そう言って笑ってみせると、お婆ちゃんは ほっと肩の力を抜いた。
「そう。なら良いの。行ってらっしゃい。」
「うん、行って来ます!」
部屋に戻ってランドセルを背負う。久し振りに背負った それは、思っていたより重く感じた。
家の扉を開けると、其処には見慣れた姿。
「……美雪。」
「待ってたよ、愛光。」
親友は振り返り、明るい笑顔を浮かべた。
「きっと来るって、信じてた。」
「行こう。」
美雪の手を取って、懐かしさすら感じる通学路を歩く。
空を見上げると、雲1つ無い青空が広がっていた。