予言と過去



村の大聖堂の大広間に整然と並べられている遺体を見て、私は呆然と立ち竦んだ。



昨夜、空界を悪魔が襲った。空界の守護者である龍族は悪魔と戦闘し、そして……遺体となって、翌朝 大聖堂の大広間に集められた。



村に居た龍族の殆どが、其処には寝かされていた。大聖堂の司祭達が手分けをして、身元を特定している所だと言う。



広間には、哀しみに暮れる幻獣達の姿が見て取れた。



ねぇ……。



――ライネスは、無事なの?



ライネスも、戦闘に参加したのかな? 魔法が弱くても、龍族の一員として駆り出される事は、大いに有り得る。



半ば放心状態で、私は家族に支えられていた。



そして、半日後。大広間に村人が集められ、村の長である大爺様が話を始めた。



悪魔が空界を襲った事。
対抗した龍族は殆どが殺された事。
生き残った僅かな者達は、地界に連れて行かれた事。



生き残ったとされる龍族達の名前が読み上げられる。その中に、彼の名も在った。



良かった、生きてるかも知れないんだ。



でも、直ぐに不安に なる。



地界に連れて行かれたって……どうなるの?



悪魔が居る世界なんて、想像 出来ない。暗くて、寒くて、苦しいとこなのかな……?

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