予言と過去
それから ずっと、放心状態で毎日を過ごした。
村では救出隊が結成されて、地界に龍族を救いに行ったけれど、帰って来た者は居なかった。皆、悪魔に殺された。
そんな ある日、大爺様の使いの人が やって来て、私は両親と共に大聖堂へ向かった。
大広間に居る大爺様に頭を下げると、彼は柔らかく微笑んで見せた。
「今日 呼んだのは、大切な話を する為なのだ。」
大爺様は、そう切り出した。
「大切な話とは?」
お母さんが訊くと、大爺様は私の瞳を真っ直ぐ見つめた。
「この村の巫女の事は知っておるな?」
その言葉に小さく頷く。
この村の大聖堂には、女神イラ様の為に祈りを捧げる巫女が居る。代々 巫女に なる者は魔力が高く、純潔な者が相応しいとされていたけれど、最近は魔力が高い者が中々 現れず、現在の巫女は もう直ぐ70歳に なると言う。
そろそろ お歳が お歳だし、魔力も弱まって来ていると言う事で、代替わりの娘を必死に捜している所だと言う噂を聞いた事が在った。
「其方は魔力が高いだろう? 司祭達に言わせると、其方の魔力は既に現在の巫女を上回っていると言う。だから其方を、巫女に任命したい。」
その言葉に、私も両親も、愕然と した。