予言と過去



「本当は まだ話すべきではないのだが……其方には伝えておこうと思う。」


「何を……ですか?」


「この村に伝わる予言の事は知っておるな?」


「悪魔が2界を襲う時……って奴ですか?」



私の問いに、大爺様が頷いた。



「此度の悪魔の襲撃……儂は、予言が現実と なるのは、直ぐ其処ではないかと思っておるのだ。予言に出て来る巫女は……。」


「フェニックスの巫女……?」



大爺様の言いたい事が解り、私は息を飲んだ。



現在の巫女はユニコーン族。そして私は、予言に出て来る、フェニックス族の巫女?



「儂は其方が巫女の位に付いた時が、予言の実現の時だと思っておる。もし そうであるならば、其方は例外として仲間達と共に戦う事が出来るから、完全に俗世と関係を絶つ訳ではない。家族とは、縁を切って貰わなければ ならないが……。」



大爺様が最後に辛そうに呟いた言葉なんて、聞いていなかった。



「大爺様……私が巫女に なったら、ライネスを助けられますか!?」


「ライネス? ああ、龍の少年か。」



少し考えた後、大爺様は頷いた。



凄い。大爺様、地界に連れて行かれた龍族の人の名前、覚えてるんだ!



「そうじゃな。予言に出て来るのは龍族の生き残りだが、生き残りとは1人の事を指す訳ではなく、滅び掛けた族の者達の事を指す事も在るからな。もしかしたら、出来るかも知れん。」


「それでは……!!」



思わず頷こうと した私を、大爺様は止めた。

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