予言と過去
「まぁ、待て、リホ。大切な話なのだ。取り敢えずは頭の片隅に入れておいてくれ。其方が大人と なった時、また使いを送る。」
その言葉に、渋々 頷く。
ライネスは助けたいけれど、まだ子供の私じゃ、冷静な判断が出来ないかも知れないもんね。
大聖堂を出て家に帰ると、両親は とても喜んでくれた。
自分の娘が巫女に なれる素質が在ると言う喜び。けれど、巫女に なったら一生 会えない哀しみ。
その2つが入り混じって、きっと苦しかっただろうけど、2人は私の為に喜んでくれた。
それからは、巫女に なってライネスを助ける事だけを考えて、それだけの為に生きた。
そして、4年後、12歳の時。
私は初潮を迎え、大人に なった。
大聖堂の大広間で、村の皆に祝福されながら、私はユニコーンの巫女と引き継ぎを行った。
凡そ60年振りに皆の前に姿を見せた彼女は、その綺麗な紅い瞳に涙を浮かべながら、私を祝福し、労ってくれた。
私は、両親との関係を引き換えに高貴な地位を手に入れ、大聖堂の巫女の部屋で生活し始めた。