予言と過去
巫女としての生活は、驚く程 暇だった。
朝 起床したら祈りの場で祈りを捧げ、朝食を摂り、その後は何も する事が無く、寝る前に もう1度 祈りを捧げ、眠りに付く。
司祭達に混じって大聖堂の掃除を しようと しても、「巫女である貴方様に掃除等 させられません」と言われ、箒すら持たせて貰えない。
忙しければ、忘れられたかも知れない……胸の痛み。
私は私のままなのに、皆に崇められ、大切に され、自由を許されず。
両親に会えない寂しさから、夜は泣きながら寝るように なり、段々 家に帰りたいと言う気持ちが強くなった。
そんな ある日、暇で暇で仕方が無い私は、広い大聖堂を探索しに出掛け、1人の少年に出会った。
「……あれ、もしかして、巫女様?」
高く澄んだ、あどけなさの残る声。思わず後ろを振り返ると、7、8歳くらいの少年が居た。
「そうですけど……。」
「あ、僕リー。大爺様の孫だよ!」
その言葉に、昔 聞いた事を思い出す。
4年前、悪魔が空界を襲った時、大爺様の息子、その妻、そして彼等の子供は丁度 外出していて、出掛け先で悪魔に襲われ、まだ4歳だった大爺様の孫だけが、無事に帰って来たのだと言う話。
村の人々は奇跡だと騒ぎ、その子は大爺様が育てていると言う事だった。
「大爺様の お孫様ですか。私は、フェニックスのリホです。ご挨拶が遅れて、申し訳ありません。」
慇懃に頭を下げると、リーは困ったように笑った。