予言と過去



「……ねぇ、ママ。パパは?」


「…………。」



パパと別れて半日くらいが経った。その間、ママは ずっと無言だった。



「ねぇ、パパは? パパは大丈夫なの?」



何度も手を引き問い質すと、ママは漸く僕を見た。



「……パパが強いのは、リーも知ってるでしょう? だから大丈夫よ。」


「……僕達 何処 行くの?」


「村へ帰るの。お祖父ちゃんに伝えなきゃ。」



その時、ママは はっと息を飲み、僕を抱き上げて近くの茂みに身を潜めた。



「……な……。」


「しっ、喋らないで。」



ママの手が僕の口を覆う。その時。



「おい、居るんだろう? 大人しく出で来い!!」



茂みの隙間から そっと見てみると、其処にはパパが悪魔と呼んでいた人と同じ姿をした男の人が数人 居た。



「居るのは解っている!! 大人しく出て来い!!」



彼等は そう言いながら茂みを手当たり次第に掻き分けて行く。段々、悪魔が近付いて来る。



恐怖に息を飲んだ時。



「リー、良く聞いて。」



ママが僕の耳元で囁いた。

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