予言と過去
平和な この世界にも、悲劇は必ず やって来る。
ある日、悪魔が空界に来たと言う報告が、私の耳に飛び込んで来た。
「……お父様!」
出来るだけ毅然とした態度で城の廊下を歩き、謁見の間へ入る。其処に居た父は、私を振り返った。
「アリィ、来たね。」
お父様に向き合うと、彼は真っ直ぐな眼差しで私を見つめた。
「聞いた通りだ。悪魔が襲撃を して来た。私は龍族として、この地を護らなければ ならない。」
お父様の言葉に頷く。
「行きましょう。」
覚悟は、出来ていた。
私は姫として、何不自由無く生活して来た。毎日 護衛に身を守られ、何も しなくても、豪華な食事に高価な衣服を与えられて来た。
だから。
この地が危機に晒された時こそ、姫として前線で戦わなければ ならない事は、理解していた。
ところが お父様は、首を横に振った。
「アリィ、お前は、戦わなくて良い。」
「え?」
問い質そうとした私の躰を、蒼い光が包み込んだ。