予言と過去



それが何か解り、私は お父様に手を伸ばした。



「お父様っ!!」


「お前は、傷付いて欲しくない。」



お父様は、小さく、微笑んだ。



「私の我儘だ。許してくれ。」


「お父様!! 私も戦います!!」



結界に手を当て必死に抗議するが、お父様が聞き入れる事は無かった。



「アリィ、お前には、平和な世界で生きていて欲しいんだ。この戦いの結末が、私には解っている。だから……。」



お父様の魔法に充てられ、段々と ぼやける意識。目を閉じた私の耳に、お父様の最後の言葉が聞こえた。



「お前が次に目覚めた時、世界が平和であるように……。」



そうして私は眠り、巫女の意識の中から、空界を見守り続ける事に なった。



私が目覚めたのは、それから10年後の世界――。

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