予言と過去



「……愛光?」



こんこんと部屋のドアを叩く音が して、お婆ちゃんの遠慮がちな声が聞こえた。



「……なぁに?」



のろのろと顔を上げて答えると、声が酷く掠れていた。一瞬、自分のものかと疑うくらい。



「美雪ちゃんが来てるんだけど……会える?」



美雪。



美雪は私の友達。何を する時でも一緒で、何でも話せる、私の親友。



正直 言って、例え親友でも、今は会いたくない。誰とも会いたくない。



でも。



「……会う。」



気付けば、そう答えていた。



「そう、良かった。じゃあ、ちょっと待っててね。」



ほっとしたような お婆ちゃんの声が聞こえた。



それを聞いたら、何故だか少し哀しくなった。

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