禁域―秘密の愛―【完】
「………1人で、抱え込まないでって言ったのに」
心配だよ、巧………。
そう思えば、いつの間にかクレープ屋さんに着いていた。
「ご注文はいかがなさいますか?」
店員さんが、営業スマイルでにっこりと私に問いかけてくる。
ーーーしまった。
ボーーーーッとしてて、クレープの種類を何にするか考えてなかった。
「あ、すみません………。 私」
「ーーー私、イチゴジャムクリームでこの子はチョコバナナでお願いします」
不意に後ろから聞こえてきた声に驚いた。
この声は………
「か、かれんちゃん!」
いつの間にそこに立っていたんだろう?
私が、思わぬ彼女の登場にア然としていると
「………ぼーーーっとしないでよね!瞳ちゃん! これ、とって?一緒に食べよう?」
片方の手に握りしめていたチョコバナナ味のクレープを、私に差し出してきた。