禁域―秘密の愛―【完】
けれど………、かれんちゃんが言ったのは私が予想だにしない言葉だった。
「もしかして………、4月の桐谷君の誕生日について、何か迷ってることがあるの?」
「………えっ?」
かれんちゃん、今………なんて?
「か、かれんちゃん!」
私は、席を立ち上がり思わずかれんちゃんに詰め寄った。
「わっ、な、何っ?」
「どういうことなの? た、巧の誕生日って4月なの!?」
「え!何、まさか、瞳ちゃんったら………」
かれんちゃんが"信じられない"とでも言いたげな瞳を私に向けてくる。
………そう。
その通り………なんだ。
「桐谷君の誕生日………知らないの?」
「………うん」
自分の彼氏の誕生日を知らなかったことに今更気付くなんて………。
私は、どこまで鈍いんだろう。
「………瞳ちゃんって、勉強できるけどなんていうか、抜けてるよね」
かれんちゃんのその一言が今はズッシリと重みを持って私にのしかかった。
ああ………、最悪だ。