ディスオーダー【短編集】

 また、そいつは時折耳をつんざくような大きな声を発する。

 私が捕まえられなくて残念なのだろう。悔しがっているのだろう。

 様を見ろ。

 でも、どれくらいの間、私は走り続ければいいのだろう。

 休憩を挟んでいたことがあっても、かなり長い間、走っていたと思う。

 靴はボロボロになってしまったし、足はじんじんと痛む。

 ……家に、帰りたい。
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