ディスオーダー【短編集】
9 → ●●たいから発して
彼は無口な男だった。
自分の意思表示をせず、ただダラダラと時が流れるままに息をしているだけの、そんな男。
周りの者が話し掛けても無視。
周りの者が茶化したりバカにしても、彼は怒ることはせず、ただただ無視。
黙って周りの者らを睨んでいる。
誰も彼を相手にしなくなった時、彼は本当のヒトリになった。
ずいぶんと月日が経った時、彼に見向きをする人は、誰もいなくなっていた。