ディスオーダー【短編集】
つらつらと、まるで書き慣れている如し、ペンを紙の上で滑らせる。
やがてペンをとめ、ついさっきまで書いていた文字を私に見せ付けた。
“死にたいか?”
やけに勇ましい字で、その一文だけがそこには綴られていた。
確かに、私は死にたいと思った。
この世界のすべてが嫌になり、さようならをしたいと思った。
最期だし、もう何が起こってもいいかと思った。
だからこそ、投げやり気味に彼に話し掛けたのだ。
不気味だと噂されている、彼に。
そうしたら彼は、私に向かって“死にたいか?”と尋ねてきた。
何を言われても何をされてもピクリとも動かないと言われている彼が、そんな行動をしてきたのだ。