ディスオーダー【短編集】
15 → 壊れた貴方とイカレタ僕
「ユイくん、ユイくん!」


 両目をキラキラと輝かせ、満面の笑みで僕のもとへ駆け寄ってくる君。こういう時は、何か嬉しいことがあった時。僕は「どうしたの?」と君にとってのその〝嬉しいこと〟に耳を傾ける。


「今日ね、青色のお空を見上げたら、赤色をした人間が飛んでいたんだよ!ぴゅう~~~~ん、って!」


 そう言って君は、自分の両腕を鳥のように見立て、パタパタと上下に振りかざしながらクルクルと回った。

 かわいいなぁ。両目をキラキラと輝かせる君も。両腕を鳥のように見立ててパタパタと上下に振りかざしながらクルクルと回る君も。本当に、かわいいなあ。

 君の言うことは〝すべて〟本当だからね。

 僕以外の誰もが信じなくても、僕は信じるよ。
 君の言った〝すべて〟を。


「そうなんだ!」


 しっかりと君の話を信じて、同調して……そして僕は、にっこりと微笑みながら尋ねた。


「──その赤色をした人間、どうしたい?」


 君のためなら、なんでもしてあげる。君の欲望、すべて叶えてあげる。そのために、僕はいるのだから。君のとなりに、いるのだから。

 君は無邪気な笑顔を浮かべて、こう言った。


「捕まえてほしい!それでね、たーちゃんね、その人とおともだちになるの!今日見たお空のこととか、踏み殺した虫の数とか!楽しく笑い合いながら話せるといいな~」
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