ディスオーダー【短編集】
「そうだね。たーちゃんは世渡りが上手だから、きっとおともだちになれるよ。今から捕まえてくるね」
「ほんとう?! やったぁー!ユイくんだいっきらい!」
君の言う〝すべて〟を信じる僕だから、君の言う話し方の特徴やクセも、もちろん分かっているよ。
だからこうしてちゃんと会話が成り立っているわけだし、僕たちが分かっていたらなんの問題もないことだから。
僕は満面の笑みで自分の想いを伝えるんだ。
「うん、うん。僕もたーちゃんのこと、〝ダイスキ〟だよ」
──さて。
その日を堺に、たーちゃんの前からユイくんが現れることはありませんでした。たーちゃんのために、ユイくんはずっと空を飛ぶ赤い人間を捜しに行っていたからです。
はたして、ユイくんはどれくらいの間、空を飛ぶ赤い人間を捜しに行っていたでしょうか。──なんと!ユイくんは帰ってきたのです。
「わぁ!赤い人間さんだ!私とおともだちになりましょう!」
君は無邪気な笑顔を浮かべて、その場でくるくると回って踊り出します。
そして、ぴたりと止まった君は。
僕を見つめ、こう言うのです。
「ユイくんは、どこ?」
……え?
END.