ディスオーダー【短編集】

 今、思い返せば、死神くんは転校初日から不気味というか……どこか陰のあるヤツだった。

 よく言えば大人しい、悪く言えば暗い、陰気臭い……といった感じだろうか。無口で、無表情で、何を考えているのか分からないようなヤツだった。

 そんな得体の知れないよそ者に近付くクラスメートのみんなって、すげぇな。表ではニコニコと笑っていい人ぶっていたつもりなのかもしれねぇけど、裏ではお近づきになりたくなかったのかもな、もしかしたら。

 ──まっ、なんにせよ、俺には関係のないことか。


 ……おっ、きたきた。先生がきた。今からホームルームかぁ、今日はどんな1日になるんだろ。また誰か死んだりするのかな。

 ……ん?

 なんか、先生……暗くね?


「えー、皆さんに1つ、大事なお話があります……。昨夜、うちのクラスの笹木野(ささきの)くんが、轢き逃げに遭ってお亡くなりになりました……」


 は?
 またクラスメートのヤツが死んだのかよ。

 おいおい、死神くーん? お前のせいなのだとしたら、あと何人、殺せば気が済むワケ?

 ……って、えっ? 笹木野?
 笹木野って確か……。

 ちらり。
 隣の席を見る。

 そこには、花のはいった花瓶がぽつりと乗っていた。

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