ディスオーダー【短編集】

 ああ、もう。うるさいな。
 さっきからごちゃごちゃ、ごちゃごちゃ。

 聞こえていないとでも思っていたの? 残念。お前の言葉、お前の声、丸聞こえだよ。全部全部、聞こえているんだよ。


 (──へー。)


 (で?)


 気が散るから、何も言わないでくれる? 黙っていて。うるさいんだよ、お前。


 (──それは無理だね。僕はアンタで、アンタは僕なんだから)



 (──ねえ)

 (──気付いてる?)


 (──アンタ、さっきからずっと独り言を話しているんだよ)



 ……は?


 (──〝1人、2役〟っていうの? それをやっているんだよ、アンタ)


 ……。


 (──あ。怒っちゃった? あはは。ごめんって。自分で自分に謝るのって、すごく変な気持ちだね)

 (──一瞬で機嫌を取り戻す、サイコーにいいこと、教えよっか?)


 ……なにさ?


 (──あのね、)

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