ディスオーダー【短編集】
27 → 世界滅亡者
「俺さー、人間って信じられないんだよね」
とある日の……たぶん午後。というのも、手元に時計が無いため、今が午後なのかどうか分からない。太陽が空高くあるから、たぶん午後なのかな、と。
遮る屋根も何もなく、直射日光を浴びながら、幼馴染みでもあり親友でもあるコウタが隣でぽつりと呟いた。
「知ってる。……なに? 何かあったの?」
まったく。何年一緒にいると思っているんだか。そんなことはお見通しだと言うようにそう聞くと、コウタは空を見上げながらゆっくりと話し出す。
「昔、『押し入れを覗くな』って言ったのに覗く親友ヅラをしたバカがいたんだよ。その押し入れ、女の遺体を隠していたんだけど。言いつけを守れないとかマジで信じらんねぇ。しかもその2人、家族だっていうから余計に。地球って狭いなぁって思い直した」
「覗くなって言われたら、その人を裏切ってでも覗きたくなる生き物が人間だからな。仕方ないっちゃあ仕方ない」
「そういうモンかねー。──あっ、なぁなぁ!」
人を信じられないでんでんの話はどこへやら、突然、コウタは楽しそうに目を輝かせた。
「ちょうど1年前に、無人島にたくさんの遺体が転がっていたっていう事件……ニュースでやっていただろ?」
「ああ、そういえば、あったな。ロザリンド旅館のヤツだっけ?」
「そうそう!それ!で、その事件からちょうど1年が経ったっていうことで……ジャーン!こんなものを持ってきた!」
「なにそれ? カメラ?」
コウタが手に持っていたのは、古びたカメラだった。