ディスオーダー【短編集】

 ──●月5日(晴れ)。


 ユキくんが死にました。
 それはもう、突然に。

 ほんの数秒前まで生きて、普通に会話を繰り広げて、数秒後にどんな悲惨な未来が待っているかも疑わず、生きて、隣に、いた、のに。

 あまりにも突然すぎて、私にはどうすることも出来なかった。何も、出来なかった。


 これが世界滅亡の始まりなら、私は一体、いつ死ぬのでしょう。私の滅亡は、いつ、訪れるのでしょう。

 ……世界滅亡の始まり?

 ううん、違うわ。
 これは始まりなんかじゃない。

 もう、世界滅亡〝した〟のよ。

 ユキくんが死んだ時点で、私の世界は滅亡したの。ああ、なんてコッケイ。わらえる。それに気付かない私はただのバカ。バカ。バーカ。

 でも、おかしいな。世界滅亡したのなら、私の世界が滅亡したのなら、どうして私はまだ生きているんだろう? 世界滅亡したのに、私はまだ生きているんだろう?

 そうね。そうよね。

 こんな理不尽で腐った世界なんて、とびっきり明るく、とびきり優しく振る舞って、最期に裏切るくらいがちょうどいいのよ。


 どうして?
 どうして今じゃないの?

 今、ユキくんが隣で、「もう少ししたら迎えにくる」って言っている。どうして今じゃないのかは分からないけど、そうね、その時まで世界に優しく振る舞おうと思います。

 そして最期に裏切ってあげるの。


 さようなら!

 My World(私の世界)


 ってね(笑)
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