こちら、なんでも屋でございます【2】


「で?レイン、今日は何処に行っていたのかい?」
「…いや、少し散策だ」
「そ」
「すまない、明日から少し綺羅に会えなくなるかもしれん」
「…っ」

パリンッ!!
綺羅のお気に入りのマグカップが地面に落ちた。

「綺羅?」
「…そ、気おつけて」
「あぁ。」
「でも、レイン。一人で抱え込む事何てないよ。俺だっているし…もっと男である俺も頼ってほしいよ」
「綺羅、それは無理だ。今回の事件は私が一人でけりをつける」
「いつからなんでも屋は探偵事務所になったんだろう。いっそ名前変更しちゃおうか?」
「何が言いたい」
「……要するに、俺達が今やっていることは無駄だって事だよ」
「!?」

レインは綺羅の胸倉をつかんだ。

「綺羅、私は犠牲者を減らしたいんだ。これ以上……」
「レイン」
「き……んっ」

綺羅の唇がレインの冷たい唇に重なる。

「やめ……んっ」
「レイン、俺は……本気だ」
「綺羅?」
「本気でレインを愛してるし、本気でレインと結婚したい。だから……無事に帰ってきてね」
「…あぁ」
「じゃあもう一回…ぐはっ!!」
「調子に乗るな」
「いだだ…っ、もぉ……堅い防御…っだね」
「綺羅、心配するな。あのキスと誓おう。私は無事に戻ってくる」
「レインっ!!!」
「!?」

綺羅は強く強くレインを抱きしめた。
離すまいと必死に綺羅はしがみつく。

「レイン…っ」
「今日だけは…許してやる」

レインはそっと綺羅の背中を撫でた。





―――綺羅、ごめんね。




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