14歳、掲示物での恋。
14歳、掲示物での恋。
嫌になるほどの雪だった。
自宅から15分かかる道程が、雪のせいでもっと時間を有することになった。
テレビから綺麗なお姉さんが爽やかな笑顔で「道央は酷い吹雪が予想されます」と言っていたのを聞いて、トーストをかじりながらカーテンをあけた朝を思い出す。
嫌になるほどの地吹雪が地面を颯爽と駆け巡っていた。
夜になれば落ち着くだろうと、勝手に予想したけれど、収まる気配のない天候に嫌気をさしながら、雪道を歩く。
コートには小さな雪の結晶が無数については積もって行く。
「こんばんはー」
20時を少し過ぎた時、一つの扉を開く。
10畳程の狭い部屋。
前から縦に二人掛けの机が四つ、綺麗に並べられ、壁に沿って並べられた二人掛けの机が二つ。
机に向かってカツカツと、シャープペンシルが走る音が心地よい。
「こんばんは」
昔の木村拓也の髪型にそっくりな30代前半の塾講師が、私に挨拶を返し、私の座る席を決める。
決められた席は壁に沿って置いてある机の真ん中。
壁には様々な掲示物。
冬期講習の日程、高校の倍率、実力テストの結果など、様々な掲示物が張り巡らされていた。