14歳、掲示物での恋。



二日後ーー
また塾講師は同じ席に私を座らせる。
なんだってこの席だけいつも空いているのか、不思議でならない。

例えば、歴代この席に座っていた人が立て続けに高校受験に失敗しているとか、そういうジンクスがあるということなら今、二年生でまだ高校受験まで一年ある私を座らせるのは、少し理解できる。


けれど、偏差値の高い高校をみんなが目指すわけではなく、自分に合ったところを受験し、尚且つ、この塾は毎年全員必ず志望校に合格している。

そんな縁起悪いジンクスなんて聞いたことがない。


指定された席に腰をかけると、一目散に筆箱から消しゴムを出す。
そして、目の前にある掲示物に目をやる。



ーー“別にいいじゃん”

本当に呆れるほど、あのグループは頭が弱い。
何をもって別にいいと言うのか。
当事者は私の友人とSであって、アンタじゃない。と、言いたいのを我慢して消しゴムをかけ、その文字を消し、新しい文字を並べる。


ーー“あなたの感覚は理解不能です”

もはや怖いなんて感情も、罪悪感も何もない。
目の前の掲示物の隅に自分の本能で文字を綴る。
ただ、それだけ。


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