大切なきみに
「おっ前‥どした?!」れんは焦っていた。
私はれんのチャリの後ろに乗った。
「れん‥行こう」
れんは黙って自転車を走らせた。
喫茶店までの道のりで
私は思わずまた泣いた
「れん‥あたしね‥親離婚してんだ‥」
「うん‥」
「お父さんね‥っ‥他の女と子供作ってたんだって‥‥」
「‥うん‥」
「‥うんって‥ほかにもっと声かけらんないわけ?‥っ‥―」
「‥‥うん‥」
「バカっ。笑」
れんは自転車を急に止めた。
そして自転車から降りてこっちを向いた。
「なっ‥なによっ」
私はびっくりしていた
「俺、うまい言葉とか出ねぇけど。でも俺らみんなお前と離れねぇから‥だから一人だとか思うなよ‥‥そんだけ!」
れんは赤い顔をして
チャリに乗り
自転車を走らせた。
私は笑っちゃったけど
嬉しかった。
「ありがとっ‥」
私たちは無言だけど
暖かい空気のまま
みんなとの待ち合わせ場所に向かった。