ジュンアイは、簡単じゃない。
やっぱりアレも……セナくんが?
「あんた…、俺のこと、好きなの?」
「……え……?」
彼は、無様に転がったその答案用紙を…指差す。
「……………。」
しまった。
そうか……、そこに書いてあった文字を……読まれた……?
「………だったら…何?」
馬鹿にするの?
「別に。ただ、言っとくけど、俺は…頭の悪い女も、嘘つく女も、一方的に付きまとう女も……嫌いだ。」
……今のは全部…、私のこと…?
酷い。
確かに…そうかもしれないけれど、私のことを何も知らない癖に…最初から、全否定するなんて。
頭がいいのが…そんなに偉いの?何を言っても…許されるの?
「……お言葉だけど。いくら頭がよくても、勘違いは…するんだね。」
「………………。」
「モテるもんね、セナ君。こういうのを、『弘法も…』…………。『弘法も…』……?」
……何て言うんだっけ…?
「まあいいわ。とにかく、『猿も木から落ちる』とは…このことね。」
「…。『弘法も筆の誤り』。それに、そっちが落ちて来たんだろう、サル女。」
サ…、サル…?
『うきき?』
愛嬌あって可愛いじゃない。……って、そうじゃないだろ~!!
「あのね、全国に、何人の瀬名さんがいるとおもってんの?思い上がりもいいところじゃない?」
「…………。なら…良かった。」
「良かったって…。」
失礼過ぎる!
「………。こんな男のどこをみんな好きになるんだろう…。性悪だって言いふらしてやろうか…。」
「別に構わない。あんたみたいにキーキーされんのにも嫌気さしてきたし。どこかの『瀬名さん』にも同情する。」
ああ言えばこう言う…!
同情すべき人はアンタよ、アンタ!
この人には…口でも敵わないっていうの?!
「…………。………もういいです。すみませんでしたね、お休みのところ…。」
あーあ……。
2年越しの恋も…終焉か。
まさか告白する前に、こんな終わり方をするなんて…
思ってもいなかった。
天と地がひっくり返るような奇跡なんて…
起きなくても良かった…。
夢は夢のまま、ただ見つめるだけの日々で……
十分に、幸せだったハズだ。
「……じゃ……さよなら。」
私は、そういい残して…踵を返す。
あばよ!おかげさまで…100年の恋も…覚めたぜ。