ジュンアイは、簡単じゃない。




「……あら、今日は一段と気合いの入った髪型。」



母のそんな指摘に、かっ込んだご飯を…つまらせてしまう。



「きん、ほら…牛乳っ。」


下宿生の倉橋くんが、コップに牛乳を注いで…私に差し出す。





「………ぷはあ~……!ありがとう。」






先に登校する生徒を見送ったあとに…私たち家族は食事をする。


基本、朝は下宿生とは別々の食卓だけど…、こうして時たま一緒に食べることもある。



倉橋くんは、同級生で…野球部のエース。


今日は、朝練なしで珍しく…ここにいる。





「毎日凄いよなあ、この髪。どうなってんの?」



「えーと、左右編み込んで、毛束を捻りながら……」





髪を触られようが、じっと見つめられようが、この人を相手にドキドキすることは…ない。



家族同然…だから。






「他は大雑把なのに、コレだけはマメだよな?」



「そう?」


「お前は色々と勿体ねーんだよなあ…。ってか、残念?」




「……。うるさいよ。早く食べちゃいなっ。」


「はいはい。」










今日の髪型は……特別。

だって、本日は任務がありますから……。






普段近付くことすらできないあの人に…訳あって、自ら近づかなければ…ならないのです!









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