ジュンアイは、簡単じゃない。
「じゃあ私たちもこれで。」
セナくんに続いて、脱走を試みるけれど。
「……。待て、金築。何をそんなに悩んでるんだ?…打ち明けてみろ。」
菊地先生に、引き止められる。
「…………。セナくんに聞いて貰ってスッキリしたので…大丈夫です。(超棒読み)」
「…………そうか。」
「……もういいですか?」
「ああ。」
「じゃあ…、失礼します。力…、行こう。」
「あ、ああ……。」
困惑する力の腕を引っ張って、職員室を出ると。
早足で…廊下を歩き始めた。
「………。きん。」
私の一歩後ろを歩く力が…
小さな声で、話し掛けてくる。
「………。…何?」
「さっきの話……本当?」
「………。半分は。」
「足は…?痛いんだろ?」
「それも…半分ウソ。捻ってないし…痛くもない。」
「……。なにそれ。そんなウソついて、あいつにメリットあるんか。」
「さあ……。正当化して自分の体裁を守る為じゃない?大変だね、優等生も。うちらには理解できなくて当然。」
「昨日お前なにも言ってなかったじゃん。瀬名となんかあったなら真っ先に言ってくれそうなのに……。」
「……ショックが…大きかったからかな?」
「………!何か…されたのか?!」
「や、違う違う!どっちかと言えばしたのは私で…」
「……!!!なにをした??!! 」
「…ちょっ、いや、したって言うのは………。……ごめん、上手く説明できないや。」
「………きん……。大丈夫…なんか?」
「………ん。大丈夫!」
くるりと振り返って。
力に笑顔を向ける。
「………。お前は大事なことは隠したがるからなあ?ちゃんと言えよ!俺じゃなくても、モモだっているんだし!」
「……ありがとう。そうさせてもらう。」
力は深く追求などしなくて……、いつも、人の考えを尊重する。
勉強はできないけど、人としての温かさが……そこにある。
彼なりの、優しさだ。
「見習えよ、冷血漢め。」
「…?何か言ったか?」
「ううん、何でもなーい!」
さっさと、このモヤモヤとした思いとともに…ジャージを返上せねば……!
このままでは…調子が出ないもんね。
3馬鹿3太郎……
大いに結構!!
人の幸せは、学業で決まるんじゃない。
そんなの…人それぞれ!
人情の欠片も知らない生き方なんてしてたら…、いつか、恨みを買うんだからね、瀬名広斗……!!