ジュンアイは、簡単じゃない。
「きん、パス出しの練習、一緒にしよーぜ。」
グラウンドを走り終えた私にの前に、
ぽてぽてと…
サッカーボールが転がってくる。
「………。余ってる男子…、あっちにいるじゃん。」
そのボールを拾い上げて。
私は力の胸元へと…投げた。
「お前がちんたらしってから、モモは違う子とペア組んだぞ?」
「…………。」
「随分、のんびりだったじゃん。……なんかあった?」
「………。さっき、1度思いきり走ったから…疲れてたのかも。」
「…………。ふーん…。そっか。」
力はそれ以上何にも聞かないで。
「いっくぞ~…!!」
足元で弄んでいたボールを、高く…高く…
蹴り上げる。
私の頭上を軽々と通り越して。
遥か向こう側で…バウンドすると。
コロコロとなおも遠くへと…転がって行く。
「ノーコン!!も~……、これ以上走らせないでよね。」
「悪い悪い!」
悪戯っ子みたいに笑う力に背を向けて。
小走りで……ボールを取りに行く。
「………。バーカ…、少しくらい俺の為に走れっつーの……。」
「…………?力、今なんかいった?」
「は?……なんも?」
力とのパス出しは、思ったよりも…スムーズだった。
多分、私が取りやすいように……加減して。
ストンと足元に収まるように…考えて出している。
馬鹿している時もそうだけど。
ピッタリと気持ちが沿うように……
安心できて、楽でも……ある。
「…お、今のいい感じじゃん♪」
やみくもに打ち出すボールを正面でとらえて。
さりげなく…誉めてくれる。
言葉はなくても、意思の疎通が出来ているのは……
ちゃんとキャッチボールができるのは……
力が、私に合わせてくれるからだ。
「………ありがとう。」
「あ?なんだよ、気持ちワリーな。」
馴染みの悪態も、彼もの照れ隠しだと……
知っている。
「……人を知るって…こういうことなんだよね。」
うわべだけじゃない、
真の……性格を。
本当のセナくんを。
こんな風に……知ってみたかったな……。
妄想を……うち壊される前に。