ジュンアイは、簡単じゃない。
「雷…落ちたらのかな。……停電?」
外も、家の中も……真っ暗。
おろおろするばかりで。
どうしたら良いかが…分からない。
「………。何してんだ。」
セナくんの落ち着いた声が…
背中に届いた。
「あんた…まだいたの?」
「………。ブレーカーの確認を。それから、電化製品の電源はきったほうがいい。できれば、コンセントから。」
「……………。」
「お前、さっきまでの威勢はどこにいった?」
「だって……、こんなのはじめてだし、お母さんと二人しかいないし……。」
「頭を使え、馬鹿。」
セナくんの声がする方に…
ぼんやりと、灯りがともる。
彼が手にしたスマートフォンが……
どうやら、懐中電灯がわりになっているらしい。
暗がりに…
セナくんの顔が見えてくる。
「ブレーカーは?どこ?」
「…………。あ……、うん、多分この辺だと……。」
「………。あった。……落ちてない。やっぱり…停電みたいだな。」
こんな状況で。
関わらないと宣言しておいて。
なのに…、
居て良かったと……心底思う。
「…………。あのう…、あとは、どうしたら…?」
「……………。まだ頼る気か。」
「……………。」
ごもっとも……。
「………。仕方ない。じゃあお前は…これをもって、照明になるものを確保して。」
セナくんの手から…スマフォを受けとる。
「わかった。でも、セナくんは?」
「目が慣れてきたから大丈夫。台所で水をためたいから…適当に、鍋やボウルとか借りるから。アンタはそれをもって移動しながら…、電化製品のコンセントを抜いて。」
「…はい。あ…、コンロの上に空の鍋があったから、ソレ使って。」
私は、セナくんの指示通りに……
明かりを頼りに、移動を始める。
「……ゆなー…………ゆーなあ~……。」
2階に向かおうと階段へと差し掛かった所で。
母の弱々しい声が…階下へと聞こえてきた。
「………。お母さん?!」
そういえば……
姿をみてなかった。
慎重に階段を登り、声のする……私の隣りの部屋へと潜入すると。
母は、フローリングにペタンと座り込んでいた。
「……。お母さん…?大丈夫?」
光りを母へと向けて、その表情を…確認する。
「………。ごめん、こんなときに…。」
「………?え?」
「こうね、腰が…ぐきっと。」
「……………。あは…、やっちゃった…?」
「………はい。」
苦痛に顔を歪めるその原因…。
持病になりつつある……ぎっくり腰!!
「とにかく…、ここに横になって。今布団もって来るから!」
「だけど、停電が……」
「こっちは大丈夫。天才が…ついてるから。」
「………?」