ジュンアイは、簡単じゃない。
ザクザクと……
白菜を切る音が、キッチンへと…響く。
「………上手だね。」
「………。誰でもできるだろ?」
「……………。ねえ。何で斜めにきるの?」
「火を通しやすくするため。」
「ねえ……。」
「…………うるさい。それから、ちゃんとライトを当てろ!」
包丁の先っぽが、容赦なく私の前へと……つき出される。
「おっつ……。」
私達二人は…キッチンに立って。
夕飯の……支度。
包丁を握るのは、無論……私。ではなく…
セナくん。
料理は完全に母任せだったから、これから帰ってくる下宿生への御飯を自分が作ろうだなんて…
到底、無理な話であった。
自分ひとりだったら、空腹をこらえるくらいなんとでもなるのだが…。
大事な生徒を預かっている手前、食事なしなんて…できない。
すがる思いで……セナくんに頼み込むと。
「女の癖に料理もできないのか」、と……。完全に呆れられた。
「……いい主夫になれるよ。」
「…………。」
新婚ごっこでも……してる気分だった。
相手がセナくんだなんて……
ヤバい、妄想が…膨らんじゃう。