眠り姫はひだまりで【番外編】
bitter angel
「っほがっ、ほがぁ…!つ、つついに!?」
咥えていたパンをもごもごさせながら、色葉は興奮したように声を大きくして、そう言った。
「…落ち着きなさいよ…」
高校一年生も終わり頃、二月下旬のある日の昼休み。
あたしと色葉はいつも通り、窓際の席でお弁当を食べていた。
メロンパンを口いっぱいに頬張る色葉は、「だ、だって」と何故か右手を上下に振り始めた。
彼女は見かけによらず、豪快に食べる。
量こそ平均的だけど、食べ方が全然ほんわりしていない。
「み、み、ミオと、裕也くんがついにっ……!」
その先は、口を塞いだあたしの手によって、言えなかった。
「…声、でかい」
周りを見回すと、数人のクラスメイトが不思議そうにこっちを見ている。
けれどやがて、視線は元に戻された。
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