眠り姫はひだまりで【番外編】
完全なる事後報告だ。
女の子って、どうしてこうもころりと好きな人を変えられるんだろう。
「仕方ないじゃーん。好きになっちゃったんだもん」
なんて乙女っぽいことを言って。
さゆりはやっぱり携帯を見つめながら、いつものように言うのだ。
「まぁ、理紗も頑張りなよー。それか、もう葉くんは卒業するとかさ」
…と。
卒業って、なによ。
私は純粋に、憧れてるだけなのに。
私はひとつ、ため息をついた。
教室の中心で、彼の大きな笑い声が聞こえる。
川原葉くん、同じクラスのムードメーカー。
いつも楽しそうに笑っていて、友達も多くて。
そんな彼に恋をしている女の子は、もちろん私だけじゃない。
いろんな女の子が彼の笑顔に惹かれて、彼を見つめている。
私のように遠くからだったり、彼がつくる人の輪の中のなかでだったり。
彼は見た目もいいから、それはそれはモテるのだ。