眠り姫はひだまりで【番外編】
そんな彼に、あまり目立つ方じゃない私なんかが釣り合うとは思っていない。
わかっているから、こうやって遠くから見つめているのだ。
特別可愛いわけでも、お喋りが上手なわけでもない。
葉に恋する、多くの女の子のなかのひとり。
滅多に話せることなんてないし、葉にとっても、私なんかただのクラスメイトとしか思っていないはずだ。
こう、顔がぼやーっと出てくるくらいの、そんな認識かもしれない。
それでも、よかった。
さゆりとふたりで彼を見つめているのは楽しかったし、抜け駆け禁止、なんて言い合ったりしていたから、彼に近づく一歩を踏み出す勇気も必要なかった。