眠り姫はひだまりで【番外編】
「………そんなの、やだ」
だって、もう。
「…それだけじゃ、足りないよ…」
もう一回。
今度は神様じゃなくて、自分にお願いするの。
もう一度、勇気を出して。
声を出して。
動かせずにいた足を、もう一度。
彼の背中を追いかけるために、踏み出すの。
「………葉っ!」
私は、振り返った。
彼も、驚いた顔をして振り返る。
唇を噛んで見つめると、葉はやっぱり苦しそうに眉をひそめた。
…やだよ。
そんな顔、見たくないよ。
「………笑ってよぉ……」
ぼたぼたと、こぼれ始めた涙。
彼の、目を見開いた表情。