眠り姫はひだまりで【番外編】
…ねえ、笑ってよ。
もっと、笑ってよ。
そしたら、私も笑うから。
『理紗』って、呼んで。
…とびきりの笑顔で、言うから。
流れ落ちる涙を堪えることなく、私は想いを告げた。
「…ずっと前から、好きでした」
見つめてる、だけだったの。
憧れてる、だけだったの。
私は顔も性格も趣味も、全部、全部平凡で。
本当に、どこにでもいるような女の子で。
でも君は、クラスの人気者だ。
笑顔がまぶしくて、色んな人を楽しませることが出来る。
遠くの、存在だった。
…だけど。
「……理紗」
君がそう、呼ぶから。
あのとき、ずっと憧れていた笑顔で。
葉は戸惑いにも似た表情で、私を見ていた。
…ちょっとくらい、私が振り回したって、いいでしょう?
もう、見つめているだけなのは、嫌なんだ。