眠り姫はひだまりで【番外編】


…ねえ、笑ってよ。

もっと、笑ってよ。

そしたら、私も笑うから。

『理紗』って、呼んで。


…とびきりの笑顔で、言うから。


流れ落ちる涙を堪えることなく、私は想いを告げた。


「…ずっと前から、好きでした」


見つめてる、だけだったの。

憧れてる、だけだったの。

私は顔も性格も趣味も、全部、全部平凡で。

本当に、どこにでもいるような女の子で。

でも君は、クラスの人気者だ。

笑顔がまぶしくて、色んな人を楽しませることが出来る。

遠くの、存在だった。

…だけど。


「……理紗」


君がそう、呼ぶから。

あのとき、ずっと憧れていた笑顔で。

葉は戸惑いにも似た表情で、私を見ていた。

…ちょっとくらい、私が振り回したって、いいでしょう?

もう、見つめているだけなのは、嫌なんだ。


< 154 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop