眠り姫はひだまりで【番外編】


…君にもっと、近づきたいんだ。



「私と、付き合って下さい」



ぼろぼろ、ぼろぼろ。

零れ落ちる、涙。

大きく見開かれる、彼の瞳。

教室中が、歓声と冷やかしで盛り上がり始める。


葉は一歩、私へ近づいた。

…そして、ぎゅ、と、私の体を抱きしめた。


「………ごめん、妬いたの。理紗が目立って、他の男が近づき始めたから」


そう、拗ねたように耳元で言う。

周りが、わいわいと騒いでいる。

…そんなこと言われたら、幸せすぎて、私、死んじゃうかもしれないよ。


「…葉の、気持ちは…?」


抱きしめ返してそう言うと、葉はやっぱり困ったような顔をして、私の体を離した。

じ、と見つめると、彼は諦めたような顔をして。


「…俺も理紗が、好きです」


…照れたように、顔を赤くして。

大好きな笑顔で、そう言うから。


< 155 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop