眠り姫はひだまりで【番外編】
やはり毎度のように、柚木が言う。
「『色葉ちゃん』と」
…その髪の色も、ふわふわした毛先も。
小柄な背中も、背丈も。
顔まで似ているものだから、一時期二年の男子のなかで、話題になったものだ。
あの『色葉』にそっくりな新入生がいる、と。
「見れば見るほど似てるわ。色葉ちゃんは知ってんのかね?」
「…知らないよ、多分」
知ってても、きっと色葉は『へぇ〜そうなんだぁ』くらいだろうな。
けど、間違っても色葉にだけは知られちゃいけない。
僕の目が、彼女を追うようになっていることは。
*
二年になって、僕はまた色葉と同じクラスになった。
色葉と、僕は文系。
澪と純は理系だから、隣のクラスにいる。
親友と彼氏、どちらともクラスが違う色葉は、もっと落ち込むかと思っていたけど。
最近は、同じクラスでもともと仲の良かった長野さん、吉澤さんとよく一緒にいるところを見かける。