眠り姫はひだまりで【番外編】
「ん、じゃあね」
笑って手を振る僕を見て、柚木が「…なぁ」と言った。
「…大和って、まだー…」
「わぁっ……!」
横から聞こえた柚木の声と、後ろから聞こえた声が、重なった。
…この、声は。
「…っいろ」
ばっと振り返って、その声の正体を見つめる。
「…は…」
…違う。
…色葉じゃ、ない。
けど。
…あの子だった。
目を見開く僕に向かって、彼女が階段から落ちてくる。
大量の、パンを抱えて。
…そんなに、食べるの?
なんて呑気な考えも、一瞬で消えた。
「え、ちょっ」
バサバサバサバサ………
僕の頭上に大量のパンが降ってきて、彼女まで降ってきて。
まるで、スローモーション。
彼女を受け止めた拍子に、僕は階段の踊り場で後ろに倒れた。