眠り姫はひだまりで【番外編】


「…え、わぁ、大和先輩っ!」


…なんで、僕の名前、知ってんだろ。

つーか、声まで似てる………

…ああ、でも、案外顔は似てないかもしれない。

どうやら頭を強く打ったらしく、目の前まで彼女の顔が迫りながら、僕の思考は途切れようとしていた。


…頭、いってえ。


遠くで、彼女と柚木の声が聞こえた。






目が覚めると、そこは保健室だった。

白いベッドと、天井、ベッドを囲う、カーテン。

僕は昼休みのことを思い出して、ああ、そういえば、なんて小さく呟いた。

保健室のなかは、静まり返っている。

身体を起こそうとして、頭がズキズキと痛んだ。

…あー、いてえ。

あの子、いるのかな。

今何限目なのかわからないけど、時間がそれなりに経っていたら、もう先生が教室へ帰しているかもしれない。



< 162 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop