眠り姫はひだまりで【番外編】
「…ごっ、ごめん」
「興奮しすぎよ。たかが彼氏ができたっていうだけの報告で」
そう、色葉がこんな様子なのは、あたしがある報告をしたからだ。
それはつまり、裕也くんと付き合うことになりました報告。
三ヶ月前から、あたしが密かに片思いしていた栗原裕也くん。
二組の人達と遊んだときに知り合って、それから何度か一緒にお昼を食べたり、出かけたりもした。
色葉はもう、その時点で『付き合えばいいのに』なんて言ってたんだけど。
確かに、それもできた気はする。
けど残念ながら、あたしにそんな勇気はなかった。
そんなこんなで三ヶ月、進展なしが続くと思っていたら。
つい先日、というか昨日、付き合うことになったのだ。
可愛い顔を台無しにして、変なにやけ方をする色葉に「あ…あのさ」と控えめに切り出した。
「…今日から水曜と木曜、一緒に帰ることになったから…色葉と、帰れない」
ごめん、と言って顔を見ると、彼女の目はより一層輝きを増していた。