眠り姫はひだまりで【番外編】
「ちょっとくらい良いじゃーん」と頬をさすりながらも、私はハイテンションのまま言った。
「この教室の鍵のことが!ようやく!!わかったのです!!」
バン!と机を叩く。
『おおーっ』という反応が返ってくるかと思ったら、純くんの顔はぽかんとしていた。
「鍵って…これ?」
そして、ポケットから小さな鍵を取り出す。
この空き教室の、扉の鍵。
なくなったと思われていたものだったのだけれど、純くんが偶然他の空き教室で見つけたのだ。
この空き教室はもともとお兄ちゃんとそのお友達が使っていたもので、当時の鍵を持っていたのはお友達のほうで。
卒業後は連絡がつかなかったんだけど、やっとこの間、ふたりは再会して話をしたらしい。
「そう。その鍵!あのね、お兄ちゃんによるとね…」
お兄ちゃんが、今私達が空き教室を使っていて、鍵が見つかったことを話すと、その人はとても喜んだらしい。
そして、当時ひとりで旧校舎の他の空き教室を探検していたら、鍵を無くしてしまったんだって。
その頃既にお兄ちゃんとそのお友達は特別ルートの存在を知っていたから、そんなに気にしなかったらしい。