【短編】あなたの隣で目覚められたら。
少しぐらい甘えさせてくれたっていいじゃないですか。
勤務時間が終了し、帰る支度をして会社を出ようとして、声をかけられた。
「香織さん、お疲れ様です。」
「あ、孝二くん。お疲れ様。」
孝二くんは私より2つ下の24歳。
頭はきれるし仕事はできるし、信頼も厚くて、頼もしい後輩だ。
おまけにルックスも文句無し。
老若男女、誰が見てもかっこ悪いと思う人はいないだろう。
いかにも万人受けしそうなタイプ。
非の打ち所がないというのは、こういう人のことを言うんだなとつくづく思う。
「香織さん、この後何か予定ありますか?」
「ううん、今日はこのまま家に帰るよ。」
「よかったら、ご飯に行きませんか?」
「ご飯?いいよ。行こう。」
今日は仕事が多くて特に疲れていて、料理をしたくない気分だったので、私は二つ返事で誘いを承諾した。
私と孝二くんは普段から仲がよくて、一緒にご飯に行くことは珍しくはない。
話し合った結果、洋食屋さんに行くことになった。
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