【短編】あなたの隣で目覚められたら。
洋食屋さんに着いて、私はオムライス、孝二くんはナポリタンを注文した。
ナポリタン…可愛い。
いつもは優しい口調で色んな話をしてくれる孝二くんなのに、今日は疲れているのか、口数が多くない。
料理が届くまでの間、微妙な沈黙に包まれていて、私は必死に話題を探した。
「そういえば、彼女できたんだって?てか彼女いるのに私とご飯に来たりなんかしていいの?」
「…あぁ、昨日フラれました。」
うわ、地雷踏んじゃった。
どうしようどうしよう。
「あっ…そうなんだ。ごめんね知らなかったの。」
「いいんですよ。気にしないでください。」
そう言った孝二くんの表情はいかにも悲しげで、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「お待たせいたしました。」
お気に入りのオムライスの味も、あんまりピンとこない。
どうやってこの空気を断ち切ろうかな。
食べている間、再び沈黙が続く。
すると、孝二くんが口を開いた。
「香織さん、今晩俺の隣で眠ってくれませんか?」
私は言葉を失った。