【短編】あなたの隣で目覚められたら。
ごくりとビールを喉に流し込むと、少し肩の力が抜けて気持ちが落ち着いた。
それからは、孝二くんの失恋のこと、職場のこと、今までの恋愛のことなど、とにかく色々な話をした。
初めて聞くことや、初めて話すことがたくさんあって、2人で盛り上がった。
2時か。
眠くなってきちゃったかも。
「…眠いですか?」
「あ…うん。ちょっとね。でもまだ大丈夫。」
「…寝ましょうか。2時だし。」
そう言われて、ほろ酔い気分だった私は、一気に酔いが覚めた。
「こっちです」
そう言われて立ち上がると、やはり酔っているのか、足元がおぼつかなくてよろけてしまった。
「おっと…大丈夫ですか?」
再び座り込んだ私に、孝二くんが手を差しのべた。
「…ありがとう。」
「あの、俺、一緒のベッドで寝る気満々なんですけど、いいですか?てかベッド1つしかないし、お客さんの布団も無いし、ソファーは狭すぎるから一緒に寝ましょう。ね?」
私は酔っぱらっていることもあり、羞恥心が薄れてしまい、こくりと頷いた。
そうして連れていかれた寝室には、当たり前のようにベッドが1つ。
先に入った孝二くんは、私がベッドの横で立ち尽くしているのを見て、
「どうしたんですか?」
と声をかけてきた。
「…どうもしないけど」
「大丈夫ですよ。何もしませんから。多分。早く入ってください」
私は、遠慮がちに孝二くんのベッドに入った。